皆さんこんにちは、当院のHPをご覧いただきありがとうございます。

近年、糖尿病と歯科の関係が盛んに研究され、歯周病が糖尿病の第6の合併症と認識されていることをご存知でしょうか？（日本歯科医師会　テーマパーク8020　全身とのかかわり　歯周病と糖尿病）

今回は歯科医師が糖尿病の方に知っていて欲しい事を書いていきます。

【糖尿病で虫歯になりやすくなる!?】

「糖尿病は喉が渇く」と聞いたことがあると思います。

これは体内の水分を使って糖を尿として排泄することで起こる症状。排尿による脱水状態が唾液の減少を引き起こし喉が渇くのです。

日頃意識はしていないと思いますが、唾液は食物の消化・嚥下の補助・粘膜の保護・口腔内の洗浄・細菌の増殖抑制・㏗緩衝作用・再石灰化作用などさまざまな役割を担っています。

これらのうち口腔内の洗浄・細菌の増殖抑制・㏗緩衝作用・再石灰化作用は虫歯予防に関与しているので、その効果が低下すると虫歯は格段に出来やすくなります。

また、出来た虫歯の進行も早いので、定期的に虫歯のチェックが必要になります。

【歯科医院に行くときは忘れずに】

①歯科受診日の食事とお薬

「今日は歯医者の予約の日だから、食事は治療から帰ってからにしよう」なんて思った事ありませんか？

糖尿病の患者さんは歯科の受診時に低血糖状態におちいる危険があります。現在では当院を含めたくさんの歯科医院が低血糖を起こした患者さんの為にやブドウ糖などを用意していますが、食事とお薬はいつも通りに摂ってから来院してください。

②お薬手帳を持っていく

糖尿病はさまざまな合併症があり糖尿病網膜症・糖尿病腎症・糖尿病神経障害が有名です。

これらは高血糖により細い血管が傷つけられた結果起こる合併症ですが、細い血管だけでなく太い血管も障害をうけ、動脈硬化がおこります。

大血管の動脈硬化は脳梗塞・心筋梗塞の危険性が増すため、抗凝固剤（血液サラサラの薬）を服用していることがあります。この血液サラサラの薬は抜歯などの観血処置が困難となる可能性があります。

また、糖尿病の合併症として骨粗鬆症があります。骨粗鬆症のお薬でビスホスホネート製剤というものがあり、服用している場合は抜歯などの観血処置後に顎骨壊死が起こる事があります。そのリスクを下げる為に、休薬をする必要があるかもしれません。

おくすり手帳を歯科医師に提示することで、歯科治療をより安全に受ける事が出来ます。

また、お薬の服用に関して歯科と医科のそれぞれの担当医が連携を取りながら決定します。服用や休薬などを自己判断しないようにして下さい。

【歯周病治療で糖尿病が改善する!?】

糖尿病と歯周病は相互に悪影響を及ぼしあい、重症化が同時に進行することが分かっています。

歯周病が重症化すると…

歯周病菌は菌内毒素と呼ばれる強力な毒素を産生します。

内毒素は持続的に体内に取り込まれ、それに対する体の免疫反応は活性化されることになります。

特に内臓脂肪で免疫反応を活性化させる物質を大量に作るのですが、この物質がインスリン抵抗性を高める物質であることが分かっています。

つまり、歯周病の重症化によってインスリンの効き目が悪くなり血糖値が上昇してしまうのです。

血糖値が上昇すると…

①血管がもろくなり出血しやすくなるのでさらに内毒素が取り込まれるようになります。

②傷を治す役割である結合組織の代謝異常が発生し、歯周病で損傷を受けた歯肉の修復が阻害されます。

③マクロファージと呼ばれる免疫細胞の働きが低下する事が知られており、感染症である歯周病は細菌の増殖を抑制しにくくなります。

これらの理由から血糖値の上昇で歯周病が重症化し、負のスパイラルが進んでいくのです。

しかしこれらの事実からいえる事は、歯周病をしっかりと治療し健康な歯肉を維持することで、糖尿病の改善が期待できるということです。

糖尿病の患者さんはもちろん、予備軍と思われる方も歯周病治療と口腔ケアを継続する事が非常に重要なのです。

いかがでしたでしょうか。

糖尿病と歯科の分野では今後も研究が盛んに行われることが予想され、咀嚼（食事を嚙む事）との関係なども解明されてきています。

なかなか血糖値が下がらないとお悩みの方もおられるかも知れませんが、歯周病治療で改善するかも知れません。

全国の歯科医院で皆さんのお手伝いが出来ると思いますので、ぜひお近くの歯医者さんで相談してみてください。

→【参考】当院の歯周病治療のページも治療内容について載せておりますので、あわせてご覧ください。

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